横浜隼人は、人としての成長をテーマに掲げる。114人の部員を抱える大所帯。水谷哲也監督(55)は「試合に出る選手はほんの一握り。野球を通して大人に成長する場にしてほしい」と願う。選手たちに自主性を求め、2月1日から部の方針を転換。今後の頭髪を自由にした。理由を「自分で考えて髪を切ってということ」と説明した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を、自主性を促すきっかけにも捉える。3月1日から全体練習を中止しているが、基本的なトレーニング以外は個人の考えを尊重している。

梅田健太郎投手(3年)は、巨人菅野の映像を見ながら、球速アップやフォームの安定性向上につなげようとしている。「プロの投手はどうして良い球を投げられるのか分かってきた」と研究の効果を語った。伊東拓海主将(同)は、仲間1人1人と通話を重ね、オンラインでウエートトレーニングをすることを決めた。「顔を見ながらできる。質が上がりました」と手応えをつかんだ。吉川開斗外野手(同)は「この期間で我に返るというか、いつもは見つけられないことを見つけられた」と振り返る。普段はできなかった家事の手伝いやピアノにも挑戦。新たな自分を知り、精神的な成長も実感していた。

水谷監督は「この期間で急成長する選手が出てくる」と期待する。週に1回、選手と1対1で電話面談を行っているが、直接会えてはいない。考える力を養い、大人になった選手たちと再会する時を心待ちにしていた。【湯本勝大】