加藤学園が、昨秋のリベンジを果たした。14日、藤枝市内で藤枝明誠と戦い、2-0で快勝した。

先発した吉村海音(かいと)投手(2年)が、3回無安打無失点の好投。1人も走者を許さない完全投球を披露し、勝利に貢献した。チームは、昨秋の県大会決勝でサヨナラ負けした相手を下し、今夏の県独自大会(7月11日開幕)、甲子園高校野球交流試合(8月10日開幕)へ弾みをつけた。

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加藤学園の吉村が、強打を誇る藤枝明誠打線を封じ込んだ。最速139キロを誇る直球を軸に、スライダーやチェンジアップを駆使して相手に的を絞らせなかった。奪三振は2個にとどまり、味方野手の好守にも助けられたが、自身の役割をまっとうした。

昨秋、右肩を痛めてメンバー外となった。躍進するチームを応援席から眺め、「すごく悔しかった」。故障が癒えた冬は、筋トレなどで体の強度と体力を上げた。その結果、今年2月にセンバツのメンバー入りを果たすも、翌3月に同大会の中止が決定。「大舞台で投げるチャンスだったので、しばらくは立ち直れなかった」と振り返った。

だが、前向きに練習を続ける3年生の姿を見て「先輩たちのために少しでも力になりたいと思った。それからは、気合を入れ直して練習に取り組みました」。この日の試合には、課題だった変化球の制球を上げるため、投球時の体重移動を意識。その成果を発揮し、手応えをつかんだ。

投手陣の中では、エース肥沼竣投手(3年)に続く存在となりそうだ。来月の県大会、2カ月後の甲子園に向け「少しでも投げたいので、今後もアピールしていきたい」。出身地の神奈川県厚木市から静岡にやってきた右腕は、拳を握った。【河合萌彦】