高校野球の練習試合が20日、静岡県内各地で行われた。常葉大菊川は同校野球部グラウンドで静清と対戦し、2-0で今年最初の対外試合を制した。同校の正捕手として2007年のセンバツ優勝に貢献した石岡諒哉新監督(31)が、初陣を白星で飾った。

予定より約3カ月遅れの初実戦を終えた石岡監督は、落ち着いた様子だった。心境を聞かれ、「特に何もないです」。冷静に試合を振り返った。相手のミスに乗じて得た2点を、3人の継投と無失策の堅い守備で守りきった。「粘りながら、よく抑えてくれた。守備陣も、ゲッツーを取り切る意識が根付いてきた」と評価した。

試合前には、選手たちに「野球ができる喜びに感謝し、次につながる試合をしよう」と声をかけた。攻撃では、これまで定番となっていた「ノーサイン野球」から一転し、サインを出す場面も。サインに慣れない選手にミスが出るなど、課題も生まれた。7イニング制にも言及し、「終わるのが早く感じた。早めの仕掛けが必要かなと感じました」と話した。

監督就任早々、コロナ禍による活動自粛で戸惑ったという。だが、夏の甲子園も中止となる中、腐らずに練習を続ける3年生の姿を見て「彼らに支えられた。尊敬に値します」。現在の選手たちには、入学当初からコーチとして指導してきた。だからこそ「3年生とは、1日でも長く一緒に野球をしたいですね」。甲子園で白星を重ねた石岡監督はこの日、最愛の教え子たちを率い、指揮官としての1歩目を踏んだ。【河合萌彦】