116年の歴史を誇る八戸(青森)と福岡(岩手)の県をまたいだ定期戦が開催された。OB、保護者、近隣住民ら約200人が来場。個性豊かな両校応援団も久しぶりの野球部応援で球場を盛り上げた。福岡が試合序盤の得点を守り抜き5-4で勝利。通算49度目(記録判明分)の優勝を飾った。八戸は大久保椋央内野手(3年)が6回に2点本塁打を放つなど、1点差に迫ったが届かなかった。

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夏の甲子園に県内最多10度出場している福岡が、伝統の一戦に勝利し、岩手県独自の代替大会初戦、伊保内戦(7月4日)へ弾みをつけた。定期戦とあって、20番までの背番号を勝ち取った選手がメンバー入り。入場行進、優勝杯返還、始球式など公式戦さながらの雰囲気を味わった。

1点差ゲームを制し、田中純一監督(52)は「高校生の野球は力の差がない。接戦を勝ちきれるかが大事。応援団が来て、背番号を着け、大会に近い形の緊張感でできて良かった」。残り2週間、代替大会優勝へチームをさらに仕上げる。和田琉之介主将(3年)は「練習の成果が出て接戦をものにできた。背番号を着けて試合ができたのも収穫。応援が力になった」とかみしめながらプレーした。

バンカラスタイルが伝統の同校応援団も定期戦を心待ちにしていた。下三原一将団長(3年)は「自分たちにとっても大舞台。気合を入れて練習してきた」。この日は応援歌を歌い、太鼓をたたき、思う存分楽しんだ。例年は学校のある二戸から開会式が行われる盛岡の岩手県営野球場まで、前日朝に出発し、80キロ歩く伝統がある。今年も同球場まで歩き、他球場で試合の場合はその後、車で移動。球場外からエールを送るという。

両校は県をまたぐが、学校の少ない時代に約40キロと比較的近い距離にあったため、定期戦が始まったとされる。1904年(明37)、第1回の試合で福岡中(福岡前身)は県立二中(八戸前身)に6-42の記録的大敗。野球部の応援歌には「二中、二中は何者ぞ」という表現が盛り込まれるほど意識していた過去がある。伝統を未来へつなぎ、永遠のライバルとして高め合っていく。【山田愛斗】