<高校野球東東京大会:国学院12-1荒川商・葛西南・つばさ総合>◇26日◇1回戦◇江戸川区球場

試合の裏に、高校野球ならではのドラマがあります。「心の栄冠」と題し、随時紹介します。

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「荒商の大勢の先輩に恥じないプレーができたと思います」。荒川商・葛西南・つばさ総合の主将で荒川商の広瀬凪冴(なぎさ)捕手(3年)は、コールド負けにも胸を張った。2回の守備。無死一、二塁からの中前打で本塁に突っ込む二塁走者を、センター輪島侑叶(ゆうと)外野手(3年)が矢のようなストライク返球で補殺した。

この2人に、高木力(りき)外野手(3年)菅野風輝(ふうき)内野手(3年)を加えた4人が、荒川商メンバー。彼らにとって、この大会が「Arakawa SHOGYO」のユニホームで臨むラストゲームとなった。

生徒数の減少により、1918年(大7)創設の学校は2年後の閉校が決まっている。野球部も現2年生が不在。03年(平15)にはエース宮園大耕(みやぞん)を擁してベスト32まで進出も、最近は昨秋から葛西南、つばさ総合に八丈を加えた4校連合で臨む。今回は八丈が出場辞退。菅野が2週間前に自転車で転んで左薬指骨折。部員不足の危機が続いた。「不安はあったけど試合ができることを信じて練習してきた。やりきった」と広瀬は言った。

「美技」を振り返って「意地を見せられました」と荒川商・古溝匠監督(36)。学校の歴史に、確かな足跡を残すことができた。【玉置肇】