<高校野球西東京大会:成城学園16-0深沢>◇28日◇2回戦◇市営立川球場

試合の裏に、高校野球ならではのドラマがあります。「心の栄冠」と題し、随時紹介します。

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深沢(西東京)の「健康リレー」はこの夏もまた、ほろ苦いものになってしまった。一卵性双生児の兄、左腕の都沢健介投手(2年)が先発。2回を投げ、6安打に7四球を許し、弟の右腕、康介(2年)が続いてマウンドに上がった。弟は7安打4四球を許した。打線も振るわず、相手の繰り出す2投手の前に「無安打無得点リレー」を喫し、5回コールド負けした。

健介と康介。「ともに健康な人に」との両親の願いがこめられた名前。兄には、気負いが見られた。「むだ球が多すぎた。情けない…。康介のほうが全然良かった」と唇をかんだ。

2人にとって、忘れられない試合がある。昨年9月8日、秋季都大会のブロック1回戦。相手は福生。いわば初の「健康リレー」となった一戦で、兄は10四球、弟は5四死球と崩れた。以来、2人は双子の兄弟というより、投手のライバル同士として練習に取り組んできた。でも、今夏は制球をつけるには時間が足りなかった。「来年こそ2人で…。いえ、自分1人で投げきるつもりで」と言う兄だったが、試合後、弟に「ナイスピッチング!」と声をかけた。【玉置肇】