昨秋の近畿王者の天理は順調にベスト8に進出した。投打ともにコマが豊富なチームで、注目すべきは河西陽路(ひろ)内野手(3年)だった。4-0の4回1死二塁。奈良朱雀の先発石川潤投手(3年)の内角高めを引っ張り、右翼芝生席へ運んだ。高校通算11本目となる中押し2ラン。7回コールド勝ちに貢献した河西は「神宮(大会)のときの感触を思い出しながら打った。当たった瞬間、いったと感じた」と笑った。

昨秋の明治神宮大会は準決勝で中京大中京(愛知)にサヨナラ負けしたが、河西は大会新の1試合3本塁打を放って脚光を浴びた。そんなスラッガーのグラブには「笑う門には福来る」の文字が刻まれている。昨夏の試合でベンチ入りを外された際、どんな状況でも笑顔でいることの大切さに気づいたという。チーム内のあだ名は「顔デカ」で帽子のサイズは60センチあると、からから笑う。「ここまで来たら奈良1位に」。天理の大砲はまぶしい笑顔でそう意気込んだ。【関野真佑】