全国高校野球選手権の代替となる各都道府県の独自大会が6日、全国各地で行われ、奈良では昨秋の明治神宮大会で4強入りした天理が「オール3年生」で優勝した。奈良大付に6-4で競り勝ち、10日開幕の「2020年甲子園高校野球交流試合」に弾みをつけた。和歌山では智弁和歌山が初芝橋本を10-1で下し、4年連続25回目の頂点。今秋ドラフト候補の小林樹斗投手(3年)が自己最速の152キロで試合を締めた。

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9回の投球は、高校3年間の集大成だった。9点リードの最終回、小林樹は先頭から2者連続スプリットで空振り三振。最後は相手4番に対し「全力で行きました」と時折うなり声を上げながら真っ向勝負。ストライクゾーンで空振りを奪った2球目は、自己最速を1キロ更新する152キロをマークした。「いつもよりは(球は)走ってるかなとは思った。まっすぐについてこられていたけど、負けないように投げました」と最後は150キロ直球で空振りを奪い、3者連続三振。1年春から慣れ親しんだマウンドで有終の美を飾った。

真夏の力投は、ネット裏のスカウト陣を熱くした。阪神和田テクニカルアドバイザーは「素晴らしい。あれだけ腕を振ってコントロール出来ているし、スピードとか球の質が良い。良いものが見られました」と絶賛。他球団スカウトも、感嘆の表情を浮かべた。

エースでいることの責任を感じながら、小林樹は高校最後の春夏を送った。「チームの誰よりも練習に取り組む姿勢、練習量も1番じゃないといけない」。本領を発揮しきれなかった秋を終え、1つ1つのトレーニングの質にもこだわった。チームスタッフから「よく練習する子」「大黒柱」と認められる投手に成長。和歌山最後の夏を3Kで締めた。「最後になるので、何がなんでも今までやってきたことを出そうと思ってやりました」と胸を張った。来週に迫った甲子園のマウンドが、圧巻の投球を待っている。【望月千草】