前年の東東京覇者、関東第一(東東京)は優勝まであと1イニングと迫りながらサヨナラ負けした。

重政拓夢外野手(3年)は、試合後のあいさつに並んだ途端、涙が止まらなくなった。「泣かないと決めていたのに、整列したら悔しくて」。

5回2死二塁で勝ち越し二塁打したが、勝利にはつながらなかった。昨秋の都大会で敗れた帝京戦のリベンジ、東京一を目標にしてきた。「先輩には優勝する姿を見せてもらった。今年は僕らがいい姿を見せて、来年は後輩に甲子園に行ってもらおうとやってきたんです」。目を真っ赤にして負けを悔やんだ。

選手を見やりながら米沢貴光監督(44)は、最後まで戦えたことへの感謝を口にした。新型コロナウイルスの感染が広がる中で始まった大会。「ウチは生徒数が多いし、怖さもあった。1試合でも多くと思いましたが、できてよかった」。選手には「彼らは負けたくない意地でよくやってくれました。重政にも1本出ましたし」とたたえた。

重政は、帝京・加田主将に「次も頑張ってくれ」と東西対決(10日)のエールを送り、がっちり握手して引き揚げた。【米谷輝昭】