93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が29日に開かれ、出場32校が発表される。

   ◇   ◇   ◇

柴田は創部35年目で初の甲子園切符が懸かる前日練習に、主力メンバーが不在だった。部員32人の大半は体育科で学んでおり、平塚誠監督(48)とともに、山形・蔵王でのスキー実習に参加中だった。谷木と舟山のバッテリー組ら部員13人は打撃練習や体幹トレーニングなどで汗を流し、練習メニューに集中した。舟山は「いつもと違って少し心細いですね」と運命の日に備えた。

昨秋は県3位ながら、東北大会初戦で学法石川(福島3位)を破ると、八戸学院光星(青森)、東日本国際大昌平(福島)、日大山形の各県1位校に勝利。強豪私学を次々に破る快進撃を演じて、同校初の決勝進出を果たした。谷木らを好リードし、打撃でもチームトップの打率4割5分で貢献した舟山は出場校発表を前にして、「結果は分かりませんが、全員が胸を張って待ちたい」と言葉に力を込めた。

エース谷木はストレッチなどで調整した。「ワクワクしています」と心には緊張感と、高揚感も交じっていた。東北大会は全5試合に登板し、球数制限いっぱいの500球の熱投を演じた。同大会前までは朝食を取らずに2食だけの日もあったが、大会後はセンバツ出場を意識し、3食と2度の間食でおにぎりを2つずつ食べ続けた結果、秋の体重73キロから77キロに増量して体のレベルアップを図った。「この冬に練習してきたことを、甲子園の舞台で発揮したい」。聖地でのプレーを夢見た2人は昨秋、高校初のベンチ入りから東北準Vの原動力になった。夢実現まで、心ときめくカウントダウンが始まった。【相沢孔志】