十勝、旭川、空知、北見、釧根、函館、小樽の7地区で代表決定戦が行われ、十勝地区は、白樺学園が帯広農に6-5で競り勝ち、3年ぶりの春全道切符をつかんだ。8番葛西凌央投手(3年)が7回1死一、三塁で勝ち越しの右前適時打。9番の鈴木颯大捕手(3年)が直後に左越え3ランを放ち、バッテリーで流れを引き寄せた。

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白樺学園の下位打線が、難敵撃破に導いた。まずはエースで8番の葛西だ。6回に2-2と追いつかれた直後の7回表から2番手で登板。その裏、1死一、三塁のチャンスで右前打を放ち、リードを奪った。「ここで打って流れを変えたかった」。続く9番の鈴木は1死一、三塁で内角直球をフルスイング。左翼スタンドに運んだ。自身公式戦1号となる3ランに「何とか投手を楽にしてあげたかった。うれしい」と喜んだ。

昨秋全道大会は初戦で、準優勝した旭川実に1-7で敗戦。プロ注目右腕・田中楓の立ち上がりを攻め、初回1死満塁のチャンスをつくるも、葛西が三振、続く鈴木が右飛に倒れ、無得点に終わった。鈴木は「好投手を1球で仕留められなかったのは気持ちの弱さがあったから」。屈辱を味わった2人はもう、勝負どころを逃さなかった。

15日の初戦で帯広工を退けた後、昨夏、主将兼捕手で甲子園交流試合に出場した業天汰成(拓大1年)から鈴木の元に、「捕手で試合は変わる。どんなときも笑顔で投手をもり立ててやれ」とメールが届いた。葛西が9回に3失点と苦しむと、鈴木が笑顔で落ち着かせ、1点差勝利。「ニコニコしていた業天さんを思い出した。接戦になるほど意識してできた」と振り返った。

2人とも、昨夏の甲子園交流試合を経験。葛西は山梨学院戦に4番手で登板し、1回1/3無安打無失点。「自分たちの代でも甲子園に行くため、春に力をつけたい」。鈴木はベンチ入りも出番はなく「もう1回(甲子園に)行って、出られなかった悔しさを晴らしたい」。まずは春に結果を出し、夏への助走にする。【永野高輔】