那賀が「元テニス部員」の活躍で16年以来、5年ぶりの公式戦勝利を挙げた。

右腕先発の前田辰樹投手(2年)が要所を締めて7回1失点。投球のリズムを作ったのは親友で左翼を守る連記虎白(こはく)外野手(2年)だ。1点リードの3回2死二塁で左前打を捕ってバックホーム。ストライク送球で走者を刺し、同点を阻んだ。連記は「送球は得意じゃない。気持ちで投げました」と話せば、前田は「修正しながら投げられました」と振り返った。

同校は昨年夏以降、丸刈りを撤廃。そのタイミングで入部してきたのが、軟式テニス部員だった前田と連記だ。キッカケは昨年7月12日、徳島独自大会の徳島商戦だ。0-16で大敗した試合に、当時3年生だった連記の兄秀朗さんが出ていた。連記は「ボロボロに負けて、強くしたいなという気持ち。僕ら2人が成長したら、どれだけ成長できるか。僕から(前田を)誘いました」と振り返った。那賀町立相生中の野球部では連記がキャプテンで、前田が副キャプテンだった。有言実行で念願の白星。前田は「親友ですからね」と胸を張った。

同校は16年夏の徳島大会1回戦を勝ったあとは公式戦14連敗中だった。川平伸也監督(43)は「新チームを結成してからも大敗が続いていた。よく成長してくれた」と目を細めた。【酒井俊作】