新潟東が2014年(平26)以来7年ぶりの夏1勝を挙げた。豊栄・加茂農林に12-8で打ち勝った。4番・谷本遼馬左翼手(3年)が6-4の9回表1死三塁から右翼に大会第1号の2ラン。自身の公式戦初本塁打で、この回一挙8点の猛攻の勢いを加速させた。

ダイヤモンドを1周し、一塁側ベンチ前のチームメートの顔が目に入ると喜びがあふれ出た。谷本は雄たけびを上げながら仲間とハイタッチを繰り返した。2点を勝ち越し、なお9回表1死三塁。真ん中高めの直球をとらえた感触は「入るとは思わなかった」と、いまひとつ。それでもライナー性の打球が右翼席に突き刺さった。

「大会第1号を狙っていた」と笑う。そこまで4打数無安打。1、4回と得点圏に走者を置いた場面で凡退した。「4番の自分が打てないのが悔しかった」。思いを9回の打席にぶつけた。4-4で迎えたこの回、新潟東は5安打を集めて一挙8点。「練習試合でも1本しか打っていない」という主砲の公式戦初本塁打でベンチのムードは最高潮に。つけた勢いが白星につながった。

貴重な勝利だ。新潟東の公式戦白星は18年9月6日の秋季県大会1回戦、豊栄戦(6○2)以来1038日ぶり。夏の勝利は14年7月14日の初戦2回戦、新潟西戦(4○3)以来2553日ぶりになった。新田聡監督(59)は「選手たちが1勝をプレゼントしてくれた」と喜んだ。来年3月で教員を定年退職するため今大会が最後の夏。「新田先生に恩返しの勝利を」(谷本)と選手は結束した。「大事な場面ではしっかり振り抜く。そういう練習はやってきた」。新田監督が自負する思い切りの良さはビッグイニングになって表れた。

2回戦(13日)の相手は優勝候補の一角、新潟明訓。谷本は誓った。「新田先生はいつも『グッドゲームをしよう』と話している。悔いのない試合をする」。現メンバーにとって初めて味わう夏の1勝が結束を一段と強めた。【斎藤慎一郎】