福島夏の「工業ダービー」は郡山北工が制した。二本松工を7回コールドで撃破。6年ぶりに夏初戦突破を決めた。最速140キロ右腕・大和田凌司(3年)が、7回2安打完封勝ち。キレのある直球を軸に、8奪三振もマークした。

勝利のマウンド上は格別だった。7-0の7回2死一塁。フルカウントからの6球目。大和田は、自信のある直球を投じ、バットは空を切った。124球の7回完封劇を演じて「よっしゃー」。力いっぱい両手を突き上げた。「春、秋と地区予選で負けていたので夏に1勝できて良かった。仲間が先制点を取ってくれたおかげで、楽な気持ちで投げることができた」と、味方の強力援護に感謝し、勝利の味をかみしめた。

中学時代からのポリシーは、今もぶれることはない。「強気な投球」を信条とする。この試合、得点圏に走者を背負ったのは3度。ピンチの場面ほど、闘志をむき出しにしてギアを上げる。1回2死二塁、6回2死一、二塁の場面ではいずれも空振り三振で仕留めるなど、気迫の投球で圧倒した。「自分の気持ちが、直球に表れると思っている。(夏の大会で)自己最速を更新したいですけど、チームのことを第一優先に考えて、勝ち進んでいきたい」と、勝敗だけにこだわる。

夏は1度の甲子園出場を誇る古豪も、5年連続初戦敗退が続いていた。16年に2度目の監督就任後、福田俊彦監督(51)にとっては“夏初勝利”だ。「大きな1勝になったと思います。チームが1つになってきたと感じている。強い北工を目指して1つでも多く勝ちたい」と古豪復活を誓った。【佐藤究】