<高校野球岩手大会:花巻東11-4高田>◇15日◇2回戦◇岩手県営野球場

偉大な先輩たちに続く! エンゼルス大谷翔平投手(27)とマリナーズ菊池雄星投手(30)の母校・花巻東(岩手)が、高田に8回コールド勝ちし、初戦を突破した。伝統の「背番号1」を背負う、最速147キロ右腕・菱川一輝投手(3年)が「3番三塁」でフル出場。登板はなかったが、5回に高校通算21本目となる右越え本塁打を放つなど、2安打1打点でチームをけん引した。

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無我夢中に振り抜いた。3点リードの5回1死。第1打席に左前打で出塁し、先制のホームを踏んだ菱川が、第3打席で初球を捉えた。「狙い球を絞ってしっかり振り抜けたのは良かった」。豪快なスイングで金属音を響かせた打球は、右翼芝生席に飛び込んだ。得点を喜ぶスタンドに対し、表情を崩さずにダイヤモンドを1周。高校通算本塁打を「21」に伸ばしてもチームの勝利へ向け、気持ちを切らさなかった。この1発で勢いづいたチームは以降4イニングで毎回得点し、コールド勝ちした。

海を越えて躍動する先輩の姿に目を輝かせる。13日(日本時間14日)、同校OBのエンゼルス大谷とマリナーズ菊池がMLBオールスターゲームに初選出され、大谷はア・リーグの「1番DH」で先発出場。さらに先発投手で1回を無失点に抑え、勝利投手に輝いた。菱川は「世界で活躍されている姿は自分たちの励みになっています。雄星さんや大谷さんに負けないようにという気持ちで練習に取り組んでいます」。オールスターは「少しバスの中で見ました。すごい活躍されているな」と刺激を受け、初戦を前に気持ちを新たにした。

高校最後の夏。悔しさをバネに、投打で存在感を見せる。センバツ切符が懸かった昨秋の東北大会は、仙台育英(宮城)との準決勝で9回7安打1失点と好投したが、0-1で敗戦し、あと1歩届かなかった。最速147キロを誇る直球と高校通算21本塁打を誇る「二刀流」。大谷と同じ右投げ左打ちの主軸として、創部65年目を迎えた伝統校の「背番号1」を背負う。

菱川は「歴代の先輩たちが付けられた番号ですので、プレッシャーに負けないように、自分がその番号に恥じないようにプレーしていこうと思っています」。次戦は17日、花北青雲と8強入りを懸けて戦う。まずは3大会連続の甲子園出場をつかみ、高校野球も“花巻東の年”にする。【相沢孔志】

◆菱川一輝(ひしかわ・かずき)2003年(平15)7月24日生まれ、岩手・花巻市出身。花巻北中では軟式野球部。花巻東では1年秋からベンチ入り。174センチ、76キロ。右投げ左打ち。

◆花巻東時代の大谷と菊池 左腕・菊池は最速155キロを誇り、3年春には岩手県勢初の決勝に進出。清峰(長崎)の今村(現広島)との投手戦の末、0-1で惜しくも敗れ準優勝だった。夏は背筋痛の影響もあってベスト4で涙。大谷は3年夏の県大会準決勝で160キロをマーク。決勝で盛岡大付に敗れたが、高校通算56本塁打と、投打で超高校級のポテンシャルを示していた。