今秋ドラフト上位候補で最速152キロ右腕の市和歌山・小園健太投手(3年)が、準々決勝の耐久戦に先発し「省エネ投法」で圧倒した。

この日の最速は147キロにとどまり、毎回、安打を浴びたが、要所を締めて4回6奪三振無失点だった。「今日は思い切り投げるより、制球重視でいこうと思った。試合が詰まってくる。球数が増えたらしんどくなって後に響いてくる」と意図を説明した。

5球団9人のスカウトが視察する中、特筆すべきは顔ぶれだろう。オリックス福良GM、ヤクルト小川GM、日本ハム吉村GMと要職3人が集結。小川GMは「状況や相手を見ながら投げている。高校生投手の中では非常に完成度が高い印象」と評した。プロ球団の編成トップを引き寄せ、堂々の1位候補だ。

そんな状況でも浮足立たない。「みんなで日本一を目指す」と話してきた。3月はセンバツ出場も2回戦敗退。「春は自分がどうにかしないと『自分が、自分が』だった。しっかりバックを信頼し、みんなで1つのアウトを取れる投球に変わってきた」。頼もしい仲間が後ろで守るから力業で抑えにかかる必要もない。夏初戦登板だった15日の県和歌山戦での力勝負から一転して制球で封じた。本格派投手としての器用さが光った。【酒井俊作】