日本文理は新潟明訓に10-3で8回コールド勝ちした。準々決勝まで4試合連続先発の2年生エース田中晴也は打撃に専念。2-0の5回にはソロ本塁打で口火を切り、この回打者一巡7得点と打線を爆発させた。さらに8回にはこの日2本目となるソロ本塁打を放ち、ダメ押しした。

田中は今大会初本塁打を最高な形で決めた。「自分の持ち味はミート力。日頃の練習の成果が本塁打につながった」。2-0で迎えた5回1死での第3打席。右中間へソロ本塁打を放った。悠々とベースを回り、静かにホームを踏む。3番打者の1発が打線に火をつけた。直後の4、5番の連続二塁打など、この回の大量7得点につながった。

これで終わらない。新潟明訓に3点を許し、迎えた8回だった。この日2本目。弾丸ライナーで、右翼席に突き刺さるソロ本塁打でダメ押しした。「打撃1本で勝負しろ」。前日(24日)に鈴木崇監督(40)からそう告げられていた。2年生ながら背番号1を背負う田中は準々決勝まで4試合連続で先発していた。連戦の疲労と決勝での登板にも備えての打撃専念。「打撃でチームに貢献できて良かった。決勝では自分が投げ抜きたい」。そう言い切った。

今大会、落ち着いたプレーぶりが際立つ。春の県大会4回戦、関根学園。4点リードの9回裏に5点を失ってサヨナラ負けしたことが田中を変えた。「グラウンド上で焦ってもいいことない」。自分だけでなく、チームを落ち着かせることもエースの役割と理解した。周囲への気配りもこれまで以上に見せるようになった。「選手に声をかけ続けることによって自分も落ち着くことができる」。

11回目の夏甲子園まで、あと1勝。27日の決勝は春の県王者と激突する。田中は「チーム一丸となって120%の力を出し切れるように準備したい」と力強かった。【飯嶋聡美】