プレーボール直前、関東第一(東東京)・市川祐投手(3年)はマウンドで帽子を取り、天井を見上げた。「あいつの分も頑張ろう、天国から見ててくれと思って。毎試合、空を見ています」。東京ドームで空は見えなくても気持ちは変わらない。竹山翼さん。新宿シニア時代のチームメートは高1の時に病で亡くなった。亡き友への思いも乗せ、初回から修徳打線にエンジン全開。先頭間島を152キロで遊ゴロに仕留め、自己最速を6キロも更新した。

120球で3安打1失点完投勝利。直球の走り、変化球のキレとも抜群で、三振は12を数えた。昨夏の独自大会も含め、3年連続決勝進出へ引っ張った。亡き友だけじゃない。「前の試合(準々決勝)は投げなかった。準決、決勝のために準備してきました」。道筋をつけてくれた他の投手陣や、援護してくれた野手陣のためにも、主戦の責任を果たすだけだった。

同じエース右腕の床枝に投げ勝った。試合後、握手を交わし「頑張って」と託された。「初戦から(関東第一に)負けたチームの分も、明日は勝ちきりたいです」と宣言した。戦った全ての相手への思いも抱き、決戦に臨む。【古川真弥】