甲子園春夏合わせて41度の出場を誇る東北が12-1で仙台商を5回コールドで下し、秋初戦から大勝発進した。

「おー」。一塁側の東北ベンチのナインが、歓声を上げた。6-0の3回2死二塁。背番号13の阿部琥珀(こはく)内野手(2年)が代打で左打席に立った。初球だ。外角高めの直球を豪快に振り抜いた。打球は中堅122メートル右の芝生席へと飛び込んだ。味方も自身もびっくりの特大2ランで、リードを広げた。「どこまで飛んだのか分からず、後から(飛距離を)聞いてびっくりしました。打った瞬間に手応えは最高でした」と公式戦初アーチを笑顔で振り返った。

打線は14安打12得点と、打ちまくった。初回に長短5安打を放ち、打者一巡の猛攻で幸先よく5点を先制。2回には1点を追加。3回には打者11人で7連打、6得点の集中砲火でたたみかけた。富沢清徳監督は「たまたまだと思います」と話し、阿部の特大弾については「チームでも練習から1番飛ばす選手。久しぶりにあんな打球を見ました」と目を細めた。

投げては3投手の継投で1失点リレーも計7四死球と制球が乱れた。指揮官は「新チームは投手力を中心に守りの方から大事にしていきたいですけど、自滅してしまいました。四死球7つですから、勝ち上がれば厳しいですよね」と課題に投手陣の整備を口にした。

昨秋は東北大会出場も、準々決勝で日大山形に敗戦。今夏の宮城大会では準々決勝で古川学園にサヨナラ負けを喫した。甲子園は16年夏を最後に遠ざかっている。11年ぶりセンバツ出場で名門復活を目指す。