常葉大橘は有力私学対決で辛勝した。延長11回表に4番松田碧海(あおみ)内野手(2年)が決勝適時二塁打を放ち、4-3で接戦をものにした。

常葉大橘の頼れる4番が輝いた。延長11回1死二塁。松田は「自分で決めるという気持ちだった」。外角高めの直球をたたくと、鋭い打球が相手の右翼手頭上を越えた。歓喜の雄たけびを上げながら全力疾走した主砲は「逆らわずに逆方向に打てた。いい感じで伸びてくれた」と、会心の一打で勝負を決めた。

負けられない理由もあった。松田は御殿場中出身。実家は「(御殿場西の)近所」だという。中学時代には、強豪でも知られる御殿場西の体験練習会に参加したこともあったが、選んだのは常葉大橘だった。「橘の野球で甲子園に出たいと思った」。人一倍強い思いで試合に臨み、チームの勝利に貢献。片平恭介監督(33)も「勝負どころで打ってくれた」とたたえた。

逆境もはねのけた。コロナ禍で大会約2週間前から、平日の練習が2時間に限られている。部員全員がそろって練習できず、ぶっつけ本番に近い状況だった。それでも、相手の左投手対策に時間を割き、試合で実行。松田は「うまく試合につなげられた」と胸を張った。チームの目標は14年ぶりの東海大会出場。その先の初のセンバツ出場を目指して、突っ走る。【神谷亮磨】