3年ぶりの優勝を目指す聖光学院が、8-1の8回コールドで郡山商を退け、逆転で18年以来の16強入りを果たした。途中出場で神懸かり的な活躍を続ける三好元気外野手(1年)が、6回に同点打。相手の失策もからみ、この回に2点を勝ち越すと、8回に一挙5得点の猛攻で試合を決めた。5回から救援したエース佐山未来投手(2年)は、4イニングを1安打無四球無失点で抑え、試合の流れを引き寄せた。

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“代打の神様”三好が、値千金の一打をまた決めた。4番嶋田怜真(りょうま)外野手(2年)の代打で4回に登場。初打席は三ゴロに倒れたが、1点を追う6回1死三塁、初球の外角低めスライダーを捉え、中前に同点打を運んだ。「自分の中でストレートを狙っていたが、体が勝手に反応しました。最高でした」。延長10回の激闘を制した2回戦(15日)の磐城戦では、7回に代打で公式戦1号となる同点ソロ。学法福島に4-3で競り勝った県北支部大会決勝(2日)でも、7回に代打で同点の三塁打を放った。

背番号「19」を背負う1年生が、3試合連続で代打出場から同点打をマークした。その活躍に斎藤智也監督(58)は「なかなか、きっかけがつかめなかったが、6回の三好の1本で流れ、空気が変わった」と評価。「4番の嶋田に代えての代打なので、うちにとって切り札的存在です」と最大限の賛辞を贈る。三好は「試合に入る前は緊張するが『(代打で)行くぞ』と言われたら気合が入って、打席に入ると楽しいです」。この日も自らのバットで勝利に貢献した。

打撃は元気だが、体は万全ではない。中学までけがとは無縁も、5月中旬の練習で右の骨盤を剥離骨折。8月下旬には同部左側を同様に剥離骨折し、左が完治していない状態で今大会を迎えた。支部大会から先発は1度もないが「自分の結果よりも1スイングで球場の雰囲気を変えたり、チームのために何かできることがあれば全力でやりたいです」。先発、代打に関係なく、1打席にこだわる。

25日の4回戦では修明-光南の勝者と準々決勝進出をかけて対戦する。「接戦が多くなっているが、挑戦者として相手に立ち向かい、1戦1戦を大切に戦いたい」。勝負強さをいかんなく発揮する1年生が、頂点を目指す聖光学院の切り札であり続ける。【山田愛斗】