球打(きゅうた)に届け! 今日11日のドラフト会議で1位指名が予想されるノースアジア大明桜(秋田)の最速157キロ右腕、風間球打投手(3年)に期待を寄せる“秋田の応援団”が、運命の日を前にしてエールを送った。【取材・構成=山田愛斗】

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風間を“おいっ子”のような気持ちで見守る人がいる。油そば専門店「歌志軒秋田駅前店」を経営する安田翔さん(38)は、高校1年時から野球部仲間と店に訪れる剛腕のドラフトを待ちわびている1人だ。

明桜ナインは「こんにちは!」と元気よく来店する。風間らは特大サイズのでら盛(500グラム、並盛は200グラム)を注文し、あっという間に完食。会話に花を咲かせ「ごちそうさま!」と元気な声で寮へ戻る。安田さんは「風間君は間違いなく体が大きいし、雰囲気は完全にプロみたいです。将来のことを聞いても、ちゃんと考えているなとか、落ち着いていて大人な印象ですね」と語る。

宿泊業で働いていた安田さんが前職を辞め、油そば専門店を始めたのは18年7月8日のこと。その夏に吉田輝星投手(現日本ハム)を擁する金足農(秋田)が甲子園で準優勝。スポーツ全般が好きだったが「カナノウ旋風で高校野球を見始めたぐらいで、県内の強豪校すら分かってませんでした」。知識はほぼゼロ。それでも躍進する姿に心を動かされ「こんなことはもうないかな」と決勝(大阪桐蔭戦)のチケットを急きょ取り、甲子園に向かった。それ以来、高校野球のチェックは欠かさない。

サッカー少年だった安田さんは、J2秋田のDF加賀健一(38)と小中学校の同級生だ。身近な存在がJリーガーになり、よく知る風間もプロ野球選手に近づいている。「同級生の健一がジュビロ(現J2磐田)に入団して、『すごいな』とビックリしたんですけど、その時とは違うし、今までにない不思議な感覚ですね」と笑う。

運命のドラフトは目前だ。「風間君もほかの子たちも『おいっ子』のような感覚で見てきました。順位は関係なく、名前が呼ばれたらホッとするでしょうし、ただただ楽しみです。『風間球打』の文字が画面に出たら自分がどんな感情になるんだろう」。油そばをつくりながら、その瞬間を迎える。