最速154キロ右腕の高知・森木大智投手(3年)は阪神が外れ1位で指名し、交渉権が確定した。高知市内の同校で「今年、投打で波に乗っている、いいチームだと思います。そこでやらさせていただける。ありがたいこと」と喜んだ。

心は秒速でタテジマに染まった。会見直後、別室で待機していた部員と再会すると、ナイン全員がラパンパラでお出迎え。主砲マルテが本塁打を放った直後、ベンチで行う儀式を拝借して、森木も満面の笑みだ。

憧れは野球界で一時代を築いた、同郷の藤川球児氏だという。会見では「小さい頃から憧れで自分の野球を始めたきっかけでもあるので、火の玉ストレートに近づけるように努力したい」と目を輝かせた。高校時代は甲子園に出場できなかった。「甲子園で投げられる機会がこれからあるというのはうれしく思いますし、あのグラウンドで1軍で立てるように頑張りたい」と続けた。

高知中に軟式150キロを計測して騒がれたがひたむきに夢を追い続けてきた。早くからドラフト上位候補と評価され「自分が目標にしていた世界に近づいています」と気合十分だった。阪神では矢野監督に学ぶ。「ゲームに対してすごい熱い方だと思うので、そういうところは僕もやりやすいと思います」と話し、怖いイメージはと問われ「それはないと思います」と続けた。

武器は軽々と150キロを超える速球だけではない。ブレーキの効いたカーブやスライダーも制球がいい。投球フォームもバランスがよく、ドラフト前から「(市和歌山の)小園と双璧」「球界の宝になる選手」と、スカウトの高評価が続々集まっていた。

慢心はない。高校3年間で甲子園には出場できず、挫折も味わった。7月28日の高知大会決勝で明徳義塾に敗れ、涙を流した。「やりきりました。プロ1年目から活躍できるように成長していきたい。日本を代表する投手になりたい」。プロを見据え、夏以降もブルペン投球を重ねる。「スプリットが必要になる。精度を上げたい」。プロで生き抜くため、課題を明確にして取り組む姿も頼もしい。夢のスーパーエースへ、その第1歩を踏み出した。

高知・高知市出身、184センチ、90キロ、右投げ右打ち。