策士と言われ、山梨では独特の存在感を示す山梨学院・吉田洸二監督(52)ならではの奇策となった。
タイブレークに入った13回表、山梨学院は犠打で走者を送れず無得点。吉田監督はその裏、無死一、二塁の場面で大胆なシフトで勝負に出る。センター岩田悠聖(3年)をセカンドの前に、ライト星野泰輝(2年)をセンターに回す。ライトは無人という大胆な陣形。前進守備の一塁手の3メートルほど隣に岩田が入り、一塁方向へのバント対策を強化する形だった。
吉田監督 私たちの攻撃が0点でしたので、1点を取られると終わるということで、相手の作戦をバントから打ちに変えたいという思いでやりました。シフトを敷くだけで相手が攻撃に変わるパターンが多かったので、そこまでは今日もうまくいったんですけど、ちょっと外野フライでサードまでいかれたのが惜しかった。浅いフライになれば大成功に終わった。サードまで行かれたのが大きかった。
山梨学院の極端な内野シフトによって、木更津総合に一塁方向への犠打をあきらめさせ、ヒッティングをさせる狙いだった。菊池が左翼へフライを打ち上げたところまでは計算通りだったが、これで二塁走者が三進。1死一、三塁となり、守りやすさから申告故意四球で満塁。エース榎谷礼央(3年)がカウント3-0とボール先行で苦しくなり、最後は押し出しサヨナラ四球を与えて1回戦で姿を消した。
主将の相沢秀光内野手(3年)はタイブレークで使った右翼不在で内野5人の極端なシフトについて「部長さんを中心に考えました。いろいろ種類はあります」とだけ言った。
試合は関東NO・1右腕対決として、榎谷と越井の両投手が前評判通りの力を見せたが、最後は榎谷が力尽きた。155球を投げ9安打を許したが失点2(自責1)の内容に、試合後の榎谷は「最後は気合で抑えようと力んでしまった。越井君と9イニングを投げ合うということはできたが、投げ勝つことはできなかった。もう1度夏に成長して戻ってきたい」と言った。
◆タイブレーク 甲子園では18年春から導入され、延長12回を終え同点の場合、13回から無死一、二塁で行う。打順は12回終了後から継続。春は通算3度目で初のサヨナラ勝ちとなった。タイブレークの試合で両チームとも投手が完投したのは春夏を通じ初めて。

