第2シードの二松学舎大付がコールド負け寸前からの大逆転勝利を挙げた。

2-10と8点差をつけられて迎えた7回だった。最低2点を取らなければコールド負けの状況も、先頭から2者続けて凡退。土俵際に追い込まれた。ベンチでは、市原勝人監督(57)が「コールド負けは許さないぞ」とハッパをかけていたが、万事休すか…。

しかし、主将の1打で息を吹き返した。小林幸男内野手(3年)が、ようやくチーム4本目の安打となる左前打を放つと、そこからつながった。1四球を挟む8連打で一挙8点を奪い同点。さらに8回にも8点を奪うと、その裏を0に抑えコールド勝ちした。6回に追い上げ開始の2点適時打、7回にコールド負けを消す適時打、8回には決勝の2点適時打を放った瀬谷大夢外野手(3年)は「(7回2死となり)どきどきでした。なんとか、まず1人出そうと。後ろにつなぐことを考えました」と胸を張った。

実は、出場辞退の可能性があった。センバツから戻ってきた後、3月末にチーム内で多数の新型コロナウイルス陽性者が出た。3月30日を最後に練習はストップ。前日6日まで自宅待機が続いた。当初の試合予定は5日だったが、雨天順延が続いたことでギリギリ間に合った。

まだ自宅待機が続く選手もいる。市原監督は「病気からすぐ試合をするのはリスクがある。親御さんにお聞きしました。そしたら『やらせてほしい』と言っていただいた」と試合出場を決めた。試合前のノックが久しぶりのチーム練習となった。長年指導する指揮官も「センバツに出た学校が春の大会を辞退すれば、東京都に申し訳ない。綱渡りでした」と打ち明けた。

試合中、選手からは「体は軽いです」という言葉が漏れたという。「頭と感覚が一致しなかったのでしょう。体は軽いのに動かない。練習をしてないから」と市原監督。土壇場で頭と体のズレが戻り、そこからの大逆転だった。

センバツは1回戦で聖光学院(福島)に3-9と完敗した。市原監督は「センバツから流れが悪い中、よく踏ん張っている」と選手たちをたたえた。チームには「今、我慢すれば、必ず夏にいい風が吹く」と言っている。我慢が実った勝利に、瀬谷は「センバツで悔しい経験をしました。それをバネに、春、夏に向けてやろうと、みんなで言っています」と力強く締めくくった。【古川真弥】