作新学院が、4年ぶり17回目となる春の頂点に立った。「背番号18」の1年生右腕がデビュー戦で140キロ台を連発。好投でチームを優勝に導いた。

身長182センチ、体重85キロの大型新人が栃木に現れた。公式戦初登板初先発の小川哲平投手が、5回2安打2奪三振2四球無失点。武器の直球で強気に攻めるスタイルで、この日最速は143キロをマークした。

小川は「継投でいくと言われていたので、先輩につなぐ気持ちで。絶対に勝つという気持ちでした。(この勝利は)自信につながります」。準決勝までの5試合で47得点と強打の佐野日大打線相手に、三塁を踏ませなかった。

高校で初登板が決勝の大舞台。それでも緊張は一切なかった。

初めてのマウンドに上がる直前のこと。1回表、味方の攻撃の時間、小川はベンチ横でキャッチボールをして待機。その最中、味方のブラスバンドの演奏にリズムを合わせ、柔らかい表情をのぞかせていた。

「緊張感なく、ノリに乗っていけるように。自分のペースというか、流れに乗っていけるように。そういう意味を込めてです」。言葉の通りに初回を3人で抑え、流れをつかんだ。

この日はスライダー、チェンジアップ、カーブの3球種も投じたが、速球にはこだわりがある。「1年生の夏で150キロを出せたら…」。控えめな口調だったが、大きな目標がある。達成のためにも、関東大会(栃木、21日~)でさらなるレベルアップをはかる。