室蘭地区で代表決定戦2試合が行われた。Aブロックは苫小牧中央が延長13回タイブレークの末、北海道栄を6-5で下し8年ぶり2度目となる全道大会出場を決めた。プロ注目の最速150キロエース右腕、斉藤優汰投手(3年)が190球の熱投。5-5の延長13回に6番横野大飛(ひろと)右翼手(3年)の勝ち越し打で勝負を決めた。

斉藤の熱投が勝利を呼び込んだ。延長13回、投じた球数は190球で、9安打12奪三振5失点(自責1)。試合後「今までで一番疲れました」と本音をこぼした。「打者に気持ちで負けたらだめ。不安な気持ちでマウンドに上がるのではなくて、向こうの吹奏楽(の音)に乗っていくくらいの楽しむような気持ちでいきました」と激闘を振り返った。

9回を終え4-4で延長戦に突入した。11回に味方の適時打で勝ち越すも、直後に同点適時二塁打を浴びた。12回に入ってからは疲労も出始めた。「下半身の踏ん張りがきかなくなってきたのと、リリースで力が入らなくなった」。それでも力を振り絞り無失点。再び勝ち越した13回裏、相手打線を封じ勝利をつかんだ。

エースの踏ん張りに野手陣も奮起した。延長13回2死一、三塁で横野が外寄りの直球をはじき返し中前に勝ち越しの適時打。「みんな頑張っていたので、負けられないという思いがあった。斉藤を早く助けられるように、ただ打つということだけを考えていた」と必死に食らい付いた。

チームは昨夏の地区代表決定戦で苫小牧東相手にタイブレークを戦い、1-0で勝利した経験がある。無死一、二塁からスタートする特別ルール。練習のシート打撃ではタイブレークを想定した練習をほぼ毎日のように積んできた。この日13回の攻撃に入る前には渡辺宏禎監督(53)が「タイブレークでうちは負けていないよ」と声をかけ、選手たちを鼓舞した。

苦しい接戦を制し8年ぶり2度目の春全道切符を手にした。初出場した14年は初戦で敗れている。斉藤は「まず初戦をしっかり勝ちきれるように。ていねいに放っていきたい」と力を込めた。【山崎純一】