7月3日開幕の第104回全国高校野球選手権静岡大会に向け、日刊スポーツ静岡版では毎夏恒例の連載「夏に煌(きら)めく」を始めます。出場する109校107チームを紹介。第1回の特集は、名門復活を目指す静岡商です。中学時代の控えから主力に成長した木内英輝(えいき)内野手(3年)が、最後の夏に活躍を誓いました。【今後の掲載予定は、静岡版担当ツイッター(@NikkanShizuoka)でお知らせします】

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静岡商の木内が3年間の集大成を見せつける。現在、チーム内での立ち位置は「5番一塁」。春夏通算15度の甲子園出場を誇る名門の主力として、最後の夏を迎えようとしている。「甲子園に向け、自分が引っ張っていけるようにしたい」と開幕を見据える。

はい上がってきた。中学時代は控え投手で、高校進学後も下積み時代は長かった。投手としては大成せず、ほとんど経験のない野手へ転向。2年時には、下級生の「教育係」だった。

それでも「伝統のあるチームで定位置を取りたい」と、自ら選んだ静岡商での挑戦。全体練習後は課題の守備向上を目指し、ノックを志願。「出来ない方が恥」と、捕球の基本やコツを同級生に積極的に聞いた。

昨年5月。静岡高との定期戦で最速147キロ右腕・吉田優飛(3年)から本塁打を放った。打撃センスに守備の成長も加わり、現チーム発足時から定位置を獲得。曲田雄三監督(38)からも「うちの得点源。木内のような『努力の子』が活躍すれば勢いも出る。夏に花開いてほしい」と、期待される選手になった。

今春は、県大会初戦の2回戦で富士宮東に敗退(1●7)。木内も、試合当日まで長引いた体調不良で4打数無安打だった。不完全燃焼に終わった悔しさも、夏への思いを強くさせた。「夏は悔いを残したくない。『ここ』という場面で打ってチームを勝たせたい。そのためにも、スイングスピードをもう1段階上げたい」。2006年夏以来の聖地を目指す戦いまで約1カ月。さらに腕を磨く。【前田和哉】

<学生コーチが支える>

学生コーチの梶山勇貴と安達嶺(ともに3年)が、縁の下の力持ちとしてチームを支えている。2人は、今春に選手から“転向”。曲田監督から贈られたスタッフ専用の帽子をかぶり、ノックの代役や選手と指導陣のつなぎ役などを務めている。梶山は「選手と気持ちは同じ。勝利に少しでも貢献したい」。安達も「結果を出せるように全力でサポートしたい」と、最後の夏へ意気込んでいる。