第104回全国高校野球選手権新潟大会が今日9日、開幕する。春王者、第1シードの東京学館新潟は春のエース中町龍之介投手(3年)が復活する。今春の準決勝・中越戦で2番手で救援登板したが、右肘靱帯(じんたい)を伸ばして降板。回復に努め、最後の夏に間に合わせた。背番号は春の1から夏は10。春の優勝を直接マウンドで味わえなかった前エースは、夏こそ優勝の喜びを全身で浴びるつもりだ。

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中町には熱いマグマがたまっている。静かな口調も、夏への思いは強い。「そこそこ力を入れて投げられる。チャンスをもらったらMAXで投げたい」。まだ完全復調とはいえないが、心構えはできた。持ち味は最速143キロの直球。「攻める投球をしたい。真っすぐで押すのが持ち味だと思っている」と、らしさを披露するつもりだ。

中町が右肘を故障したのは春の準決勝、中越戦(9-6)だった。7-1から7-3と逆襲を受けた8回無死一、三塁から2番手で救援した。二塁への適時内野安打を打たれて打者1人、わずか5球。「力が入らなくなった」と自分の意思で降板した。診断は右肘靱帯炎症。以降はチーム練習を横目にグラウンドの隅で調整が続いた。ノースローの時期は下半身強化に、インナーマッスルも鍛えた。北信越大会は登録メンバーから外れたが、応援席で投球をシミュレーション。「この場面は自分ならと考えながら見ていた」と復帰の準備を進めた。

帽子のツバの裏には「常笑」という文字が記してある。「常勝」と「常に笑う」をかけた。故障した春は悔しい思いを味わっただけに、夏は勝利の笑顔を貫くつもり。背番号は2桁でも投げる姿勢は変わらない。背番号18をつけた昨夏の準々決勝・新潟明訓戦(4-5)は先発し6回1/3を2安打1失点の好投。10番だった昨秋の準々決勝・上越戦(4-0)は2安打完封と2桁背番号の“実績”はたっぷりだ。「1勝でも多く」。中町のコンディションは、夏が長くなれば長いほど上がっていく。【涌井幹雄】

◆中町龍之介(なかまち・りゅうのすけ)2004年(平16)4月5日生まれ、十日町市出身。野球は下条スピリッツで始める。下条中で軟式。高校では高2夏からベンチ入り。181センチ、90キロ。右投げ右打ち。血液型A。