<高校野球茨城大会:科技学園日立6-5常総学院>◇14日◇2回戦◇日立市民運動公園野球場

現実は受け入れがたかった。「信じられない。夏が終わった…」。常総学院(茨城)・太田和煌翔(おおたわ・きらと)主将(3年)は二塁の守備位置から、科技学園日立・網野の打球を見送った。5-5の10回1死一、二塁。エース坂本が左中間へサヨナラ打を浴びた。甲子園春夏通算42勝、優勝2回の実績もむなしく、84年の初出場以来初めて県大会初戦で敗退した。

決して慢心はなかった。むしろ逆だった。昨年はセンバツ出場に、夏は県準優勝。だが、新チームとなり昨秋は県2回戦、今春は県3回戦で敗れた。太田和は「常総の名前だけでは勝てない。練習から一番下の挑戦者の気持ちでやってきました」。100%で練習できているか? 自らの成績も出ない苦しみの中、主将の務めを果たそうとした。

1回戦を勝ち上がった相手と違い、初戦の難しさがあったか。「勢いに押され受け身になったのかな」。軟投派左腕・与板対策に、メンバーを外れた左投手が投げてくれた。だが、120キロほどの直球でも90キロ台の変化球を交えられ、安打は出ても攻めきれない。失策やバント失敗も響いた。

ようやくの7回。無死二塁で、島田直也監督(52)は、太田和に「あいつならかえしてくれる」と打たせた。同点打で応え、さらに2点追加。ところが、今度は投手が力尽きた。崩れ落ちる選手たちを見た、元プロ野球投手の島田監督は「選手を成長させられなかった僕のせいです。(失敗が)いっぱいありました。今後、その失敗を胸に、次につなげていって欲しい」と願った。太田和は気丈に敗戦を振り返っていたが、涙がほおを伝った。「最後まで、ちゃんとやろう」。引き揚げる仲間たちへの言葉。主将の振る舞いを捨てなかった。【古川真弥】

 

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