明秀学園日立が昨夏、甲子園出場の鹿島学園を7回コールドで破り、準々決勝進出を決めた。

初回、1死一、三塁から3番・佐藤光成外野手(3年)の左前適時打で先制。2回には、1本の本塁打を含む6安打。打者一巡の猛攻で一挙6点を挙げ、試合の主導権を握った。先発全員安打で19安打13得点。強打の明秀学園日立らしく、打撃で圧倒した。

二刀流の石川ケニー主将(3年)が、投打にチームをけん引した。「つないでチャンスでは打点を挙げる意識で打席に立ちました」。2回には3点を挙げ、なお1死一、三塁からインコース低めのスライダーをライト前へ運び、4点目をたたき出した。「相手の高久捕手の配球がよくて、なかなか絞れなかったが、うまく打つことができた。この1本が一番大きかった」と、4安打5打点。昨秋、準々決勝で対戦した時は、勝利するも石川は無安打。その悔しさをバットで晴らした。

二刀流もアピールした。5回からは先発の猪俣駿太投手(3年)に代わり、マウンドへ。この回は、この冬、収得したというカットボールで3者三振。6回には、注目打者の高久塁捕手(3年)に被弾するも、2回1/3を投げ1安打5奪三振で1失点。7回途中からは、エースの猪俣にマウンドを譲り、右翼の守備に戻り、試合を締めた。

鹿島学園は昨秋、4-3と一番苦戦した相手。石川は「抽選が決まり、勝ち進めば4回戦で鹿島学園と対戦する。ここが一番のヤマだと思っていました」と話した。この大一番で、4番で投手と二刀流で勝利に貢献。「チームが勝つために、ただ必死にやっているだけ。やれることは全部やりたい。猪俣も1人だと大変なので。そこをカバーしたいです」と、主将としてチームを思う一面ものぞかせた。

試合後、金沢成奉監督(55)は、すぐにミーティングを行い、選手たちに言った。「ここからが開幕だと思って、1戦1戦、戦っていこう」。初の夏の甲子園出場へ。準々決勝から、一気に駆け上がる。

◆石川ケニー(いしかわ・けにー)2004年(平16)4月7日生まれ、ハワイ州マノア出身。小学2年から野球を始める。中学は神奈川の瀬谷シニアでプレーし、2年時に全国大会出場。明秀学園日立では2年秋からベンチ入り。家族は両親と兄2人、妹2人。178センチ、76キロ。左投げ左打ち。