明秀学園日立(茨城)の二刀流、石川ケニー外野手(3年)が投打で躍動し、昨夏甲子園に出場した鹿島学園に快勝した。「4番右翼」で先発出場。3点リードの2回1死一、三塁から「つないで、打点を挙げる意識」でスライダーを右前へ運び、4点目をたたき出した。昨秋対戦では、チームは勝利も無安打。この日は4安打5打点の大暴れで悔しさを晴らした。

5回からはマウンドにも上がった。柔らかい腕の振りから力強い直球とカットボールを投じ、2回1/3を1安打5奪三振で1失点。「チームが勝つためにやれることは全部やりたい」と、主将も務める男は、強い責任感ものぞかせた。

日本人の父と、米国人の母を持つハワイ生まれ。小学2年の冬に、家族で日本に移住した。ハワイアンリーグで投手兼外野手としてプレーした父則良さん(48)から野球の手ほどきを受け、「やるなら投手をやりたい」と志願。すると父は、実家横の駐車場に、実際のマウンドからホームベースまでの距離と同じ18・44メートルの投球練習場を製作。毎日200球のキャッチボールが始まった。中学時代には一緒にバッティングセンターにも通い、140キロの球を2時間打ち込んだ。泣きながら練習したこともあったが、今は「厳しかったけど、おかげで肩の強さには自信があります」と感謝する。

小さいころから、父は「ずっと超えられない存在だと思っていた」というヒーローだった。次戦は準々決勝。二刀流で甲子園に立ち、父を超える夏にする。【保坂淑子】

◆石川ケニー(いしかわ・けにー)2004年(平16)4月7日生まれ、ハワイ州マノア出身。小学2年から野球を始める。中学は神奈川の瀬谷シニアでプレーし、2年時に全国大会出場。明秀学園日立では2年秋からベンチ入り。家族は両親と兄2人、妹2人。178センチ、76キロ。左投げ左打ち。