一塁走者の生還を見届け、国学院久我山・下川辺隼人内野手(3年)は「ホッとしました」とサヨナラ勝ちをかみしめた。5-5の10回2死一塁、八王子学園八王子の4番手浅井から左翼線へ二塁打。カウント2-1から、一塁にいた矢野がスタートを切っていた。3時間近い熱戦にけりをつけ、8強に進んだ。

ピンチでも動じない強さを身に着けた。9回、三塁手として先頭のゴロを捕れず(記録は内野安打)、土壇場で追いつかれるきっかけになった。それでも「慌てませんでした」と勝ち越しは防ぎ、10回の勝利につなげた。初回の先制犠飛、4回のソロ、5回の適時打とあわせ3安打4打点。4番として打線の核となっている。同時にチームの力も感じている。「秋、春と、いろんな経験ができました。ランナーを出しても、1つずつアウトを重ねるだけ。共通認識ができてます」。昨秋東京大会を制し、今春センバツ4強。全国の強豪と戦った経験は大きい。

尾崎直輝監督(32)は「秋から、いろんな戦いをしました。接戦。先行逃げ切り。逆転勝ち。全ての経験値が今日、生きたと思います」とうなずいた。実力校相手にサヨナラ勝ち。3年ぶり夏の頂点へ、また1つ、貴重な経験をした。【古川真弥】