<シン・うるうるマン:苫小牧中央・西村隆星投手(3年)>

仲間と同じ舞台に立てたことがうれしかった。エース斉藤に代わり6回から登板。8回に3連打を浴びたところで、左の横野にバトンを渡した。背番号10は「みんながここに連れてきてくれた。感謝の思いでいっぱい。途中で交代になってしまったけど、やりきりました」と目を潤ませた。2回0/3、5安打3失点。敗れはしたが、ベストを尽くした充足感があった。

南大会開幕4日前に新型コロナウイルス陽性判定を受け、準々決勝までベンチ入りできなくなった。「みんなが『戻ってくるまで勝ち上がる』とメッセージをくれて。監督と仲間を信じて一緒に戦っていた」。準々決勝までライブ動画で観戦。勝利後はチーム全員から「勝ったぞ」とラインが届いた。10日間の隔離期間を終え23日に合流すると、真っ先に「ありがとう」と思いを伝えた。

斉藤とは小学生時代に在籍した岩見沢日の出タイガースからの戦友。「頑張ってくれている斉藤を少しでも楽にしてあげたい」と隔離期間中も自宅でシャドー投球など自主練習を続けた。6回の登板前には、5回10安打7失点と苦しむエースから「任せたぞ」と託され6、7回は無失点。合流後の調整はわずか2日だけ。100%ではなかったが、最後の夏を取り戻してくれた友に、執念の36球で、恩返しした。【永野高輔】

●苫小牧中央・渡辺宏禎監督(53) 戻ってきた西村に投げさせてあげたかった。斉藤とも話し「先生に任せます」と。斉藤も悪くなかったが、真っすぐの伸びがなかった。まだ、これからがあると思う。上を目指す気持ちで頑張ってほしい。