二松学舎大付(東東京)が、夏2連覇を達成した。優勝は2年連続5回目。同校史上初の3季連続での甲子園出場を決めた。好調の打線は3回1死三塁、中川龍斗内野手(2年)の中犠飛で1点を先制。今大会全6試合で先制しており、試合の主導権を握って継投の必勝パターンで勝ちきった。今春センバツで1回戦負けを喫した悔しさを、チーム一丸となって甲子園に晴らしにいく。

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3年ぶりに外野席まで開放された神宮球場。1万8000人の前で、二松学舎大付は歓喜の瞬間を迎えた。9回2死一塁、2番手の重川創思投手(2年)が最後の打者を115キロ変化球で空振り三振に仕留めると、ベンチから駆け寄る仲間を笑顔で待ち受けた。同校史上初の3季連続甲子園出場。市原勝人監督(57)は「昨夏、春と(甲子園で)悔しい思いをした。なんとか晴らせてあげたい」と見据えた。

レギュラーとか、メンバーとか関係ない。4回戦までは4番でスタメン出場も、5回戦以降はベンチだった小林幸男主将(3年)は「悔しさよりも、チームが勝てばいい。試合に出なくても、やることはある」と話した。

今大会前、メンバー全員で動画を見た。16年の鹿児島大会決勝のドキュメンタリー。樟南-鹿児島実は、延長15回引き分け再試合を経て、樟南が24イニングの死闘を制した。暑さ、緊張感、疲労…さまざまな要因の中の地方大会。その試合を選んだ市原監督は「1人ではできないことが、助け合えば強いチームになる。迷惑をかけてはいけないなんて、野球じゃない。迷惑をかけられる間柄でいてほしい。一生の宝物になってほしい」と伝えた。

選手は、その思いに応えた。5回戦以降、4番に起用された1年生の片井海斗内野手が打てば、ベンチは大盛り上がり。4番を譲った形の小林も「片井の存在があったから、ここまでこられた。頼りになる」と感謝する。つながる打線と、5試合を継投で勝ち上がってきた。試合を重ねて強くなったチームで、甲子園も戦い抜く。【保坂恭子】

 

◆16年鹿児島大会決勝VTR ともに19度目の甲子園出場を目指す鹿児島実と樟南が対戦。4回に鹿児島実が同点に追い付くと、以降は無得点が続き、4時間の激闘は延長15回の末に1-1の引き分け。鹿児島実は谷村が15回225球、樟南も前日に13回192球を投げた浜屋(現西武)が6回から登板して139球の熱投を見せた。2日後の再試合は樟南が1点リードの5回無死満塁、浜屋を救援した畠中がピンチを脱出。3-2で逃げ切り、樟南が3年ぶりの優勝を飾った。

 

○…通算38本塁打の瀬谷大夢外野手(3年)に当たりが戻った。準決勝帝京戦の無安打が一転、この日は三塁打と中前打。「甘い球を逃さず打てました」。3季連続の甲子園となるが、昨夏は京都国際、今春は聖光学院に敗れた。その2校が出場する。「もう1回やって晴らしたい。40号も打ちたいけど、そんなにうまくはいかないと思う。自分の強いスイングで勝ちに貢献したい」と話した。

◆二松学舎大付 1948年(昭23)創立の私立校。生徒数703人(女子376人)。野球部は58年創部で部員数は65人。主なOBはカブス鈴木誠也、巨人大江竜聖、秋広優人ら。甲子園出場は春6度、夏は5度目。所在地は千代田区九段南2の1の32。鵜飼敦之校長。