北北海道代表の旭川大高は8日、兵庫・西宮市内のグラウンドで約2時間、練習した。10日の大阪桐蔭戦に向け主戦の山保亮太(3年)は「調整は順調。暑さにも慣れた。全打者を警戒。最強の相手に勝ってやろうという気持ち」。北大会準決勝のクラーク戦は9回2失点完投し、自ら決勝スクイズ。チーム最多13打点と勝負強い投打のキーマンが、勝利へとけん引する。

夢奪われた友の分まで、聖地で腕を振る。幼少期は宮城・石巻市で過ごした。11年前の3月11日、6歳の山保は東日本大震災に遭い、通っていた幼稚園の送迎バスが津波にのまれた。自身も1度は乗ったが、地震発生後に母が迎えに来てくれたため、バスから降りて助かった。3月末に小学校進学のため母の実家がある旭川に転居後、送迎バスにいた何人もの幼なじみが犠牲になったことを知った。

石巻の家から持ち出せたのはグラブだけ。それは今でも大事に家にしまってある。「亡くなった友達の分まで頑張りたい。甲子園という最高の舞台で、全力でプレーしたい」。聖地に立ち、大好きな野球ができる幸せを、かみしめる。【永野高輔】

■ダブルエース池田「山保と助け合っていけたら」

山保とのダブルエースで甲子園出場に導いた背番号1の右腕、池田翔哉(3年)も、聖地での戦いに向け、気持ちを高ぶらせた。前日7日は試合形式の練習に3イニング登板。この日は投球練習はせず、山保とともに外野守備に入っての調整となった。「山保とはライバルというより仲間として助け合っていけたら。(大阪桐蔭の)松尾汐音捕手は、どこのコースでもさばいてくるので、警戒したい」とイメージをふくらませた。