<全国高校野球選手権:八戸学院光星5-6愛工大名電>◇12日◇2回戦

かつての「泣き虫」に涙なし-。打撃不振だった八戸学院光星・佐藤航太外野手(3年)が、今大会初のランニング本塁打を含む2安打1打点と気を吐いた。5-5の延長10回無死二、三塁、自身が守る中堅へサヨナラ打を浴びたが「最後まで全力でやりきった」と胸を張った。

打棒が復活した。1-1の5回無死走者なし、1ボールから136キロ直球を豪快に振り抜いた。「自分の強いスイングができて、何とか飛んでいってくれた」。打球はぐんぐん伸びて左翼フェンス直撃。ボールが外野を転々とする間に50メートル走6秒0の俊足を飛ばした。最後は気迫のヘッドスライディングで、一時勝ち越しのホームを踏んだ。

県大会ではチームが3年ぶりの優勝を決めた一方で、打率1割と低迷した。甲子園に向けて、とにかくバットを振り込んできた。1番で出場した創志学園(岡山)との初戦は4打数1安打。この試合は7番に降格したが「最後にいい結果が出た」と聖地で躍動し、持ち味を発揮した。

東京・江戸川区出身で甲子園出場を目指し、青森の高校に入学した。アルプス席で観戦した母純子さん(50)は「痛くて泣き、怖くて泣き、買い物中に『あれがほしい』とねだって、『ダメ』と言うと大泣き。何事でも泣く子でした」と少年時代を回想。試合後、「悔いなく終われた」と晴れやかな表情で話す佐藤には「泣き虫」の面影はなかった。【山田愛斗】