聖光学院が「8強の壁」を夏5度目の挑戦で乗り越えた。

9回2死。エース佐山未来投手(3年)が、空振り三振で最後の打者を斬った。過去4度、涙をのんできた準々決勝を突破し、春夏通じて初の4強入り。斎藤智也監督(59)は「選手にベスト4の喜びはないと思うが、今までの中で一番乗り越えたかった壁だったので素直にうれしい」と喜びを表した。

序盤からたたみ掛けた。初回、1番赤堀颯主将(3年)が、チームに息を吹き込む。カウント1-2からの4球目。外角スライダーに食らいつき、中前へはじき返した。第1打席では4試合連続安打をマーク。この一打を皮切りに5安打の猛攻で一挙5得点。4回には4連打などで4点を追加した。「先頭打者として出塁して、チームに勢いをつけることが大事な役割。これ以上のない貢献ができている」と胸を張った。

「一瞬一瞬をやり切る」。赤堀主将はそう言い続け、この言葉をナインが体現した。7回1死一塁。安田淳平外野手(3年)が左中間へ抜けそうな打球を滑り込みながら好捕。同2死一、二塁からは一塁線への痛烈なゴロを、伊藤遥喜内野手(3年)が横っ跳び。終盤に飛び出たビッグプレー2連発。赤堀主将は「この1球で終わる。この1球で決まる。何げない1球をつくらないことが、1球に対しての執念だったり、こだわりにつながっている」と言い切る。

「日本一」まであと2つ。準決勝は夏史上初の「東北勢対決」で仙台育英(宮城)との大一番を迎える。「求めてきた場所はまだまだ先。山登りは始まったばかり。どこが相手でも、命がけで戦う」。強い決意を胸に、未知の領域に足を踏み入れる。【佐藤究】