高校の部では初の大会連覇を狙う大阪桐蔭(近畿)が1回戦を東海王者の東邦(東海・愛知)に快勝した。

序盤は接戦だった。大阪桐蔭・西谷浩一監督(53)は「まだまだ発展途上のチーム。未熟なところがある。どっちに転んでもおかしくなかった。球際の弱さ、イニング間のボール回し、走塁でのあり得ないアウト。はしばしに弱さが見えた」と引き締めた。

決勝点を挙げたのは岸本真生内野手(2年)だった。1-1と追いつかれた直後の4回1死二塁、速球をジャストミートして右越えに勝ち越し三塁打を放った。この回一気に5点を挙げて勝負を決めた。

岸本は「どんな形でも1点を取りにいこうと思った」と振り返る。走攻守のバランスがよく、三塁のレギュラー。ただ今年4月に、ラマル・ギービン・ラタナヤケ内野手が入学。秋季大会では三塁などで起用され、レギュラーをつかみかけていた。そんな中で、全国初戦で先発した8番岸本が決勝の一打を放った。

試合後のインタビュー。西谷監督、8回1失点の前田悠伍投手(2年)とともに会見場に呼ばれたのが岸本だった。3人がイスを並べて座り、報道陣が囲む会見スタイル。

西谷監督は“脇役”が指名されたことに「なんで岸本がここにいるんだろうと。これ(野球人生で)最後のインタビューだからな」と笑わせた。すぐさま「いいところで打ってくれましたね」とフォローするとともに「ラマルを使いたいと思っていると、しぶとく打つんです。しぶとい人だなあって」と、岸本の必死な姿勢を、笑いをまじえて表現した。すぐ横で岸本は照れ笑いしていた。

今年のセンバツを制した前チームとは違い、絶対的な選手はエース前田ら数えるほど。レギュラーも、ベンチ入りメンバーも流動的な部分がまだ多い。

今大会の意味合いを聞かれ「勉強です」と即答した西谷監督。激しくポジション争いをしながら、全体を底上げしていくのが今年の大阪桐蔭。その意味でも、岸本の活躍はうれしかったに違いない。【柏原誠】

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