“挽回”の一打で甲子園を沸かせた。仙台育英(宮城)が、龍谷大平安(京都)に2桁安打で快勝し、21年に続く8強入り。湯浅桜翼(おうすけ)内野手(2年)が2安打1打点の活躍。21日慶応(神奈川)戦での無安打と走塁ミスの悔しさを晴らした。

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勝負強い湯浅が、甲子園2試合目で本来の姿を見せた。1点リードの4回1死二塁、フルカウントの6球目。内角に甘く入ったスライダーを見逃さず、痛烈な打球は三遊間を破って二走が生還。中盤に貴重な追加点を積み上げ、勝利をぐっと引き寄せた。「いつも通りでストレスもなく、周りが見えた打席だった。応援してくれる人たちも喜んでいたので、1本出て良かった」。6回は左前打を放ち、復調をアピールした。

4打数無安打の慶応戦後は、昨秋県大会や東北大会の映像と現在を比較。バットを構えた際のトップの位置や姿勢が変化していることに気づき「秋のフォームに似せられるようにした」。しっかり結果を残し、須江航監督(39)は「よく前回から修正してくれた」と評価した。

高校球児憧れの大舞台。父誠さん(53)は慶応戦のプレーに「緊張が勝っているのか、顔がいつもと違い、少しこわばっていたように見受けられた。少し心配はしていましたけど、その辺が少し空回りしたのかな」。ふがいない自分に涙を浮かべた試合後、長男柊翼さん(28)に「ごめんなさい」とLINEでメッセージが届いていたという。

それから1週間後、戻ってきた甲子園で躍動。応援してくれる家族へ、照れくさそうにこう言った。

「慶応戦の時にふがいない結果をして慰めのLINEを送ってくれたので、多分(今も)LINEが来ていると思うので、しっかり『ありがとう』という言葉を伝えたいです」

期待や注目を受けながら、支えてくれる人を、もっと喜ばせる。【相沢孔志】