山梨学院が、悲願のセンバツ初優勝をつかんだ。

2点を追う5回、佐仲大輝捕手(3年)の今大会チーム1号となる2ランが飛び出すなど、打者一巡の猛攻で7点を挙げ逆転。報徳学園(兵庫)を7-3で破った。13年に就任した吉田洸二監督(53)が、清峰(長崎)に続いて2校目のセンバツ優勝に導いた。県勢としても初優勝。紫紺の大旗を、みんなで甲州に持ち帰る。

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“風”のように走り、エース“林”が投げ、“火”のように攻撃し、吉田監督はベンチで“山”のように選手たちを笑顔で見守った。指揮官は「この10年間、山梨にお世話になって。毎年のようにご期待を裏切り続けてきた。今日の優勝で少しは帳消しにしてもらえたらと思っています」と話した。

仲良し打線がつながった。2点を追う5回、打者一巡の猛攻を仕掛けた。一気に逆転すると、なおも2死二塁で佐仲。カウント1-2から内角高めの直球140キロをフルスイング。浜風に乗った打球はぐんぐん伸びて、左翼席へ。「レフトの頭は越えると思ったけど、ホームランになるとは思わなかった。二塁を回って気付きました。うれしかった」と高校通算18号。6試合連続で先発したバッテリーを組む“鉄腕”林謙吾投手(3年)に追加点をプレゼント。「(3年の)学年はノリがいいといわれる。そういうところがつながっています」と明かした。

ずっと大好きな場所で、日本一をつかんだ。高校野球の時期は、テレビにかじりついて中継を見ている子どもだった。母・千恵さんは「甲子園がある日は、一日中テレビ。甲子園がない日はソフトボールの仲間と外でやっていて、甲子園中心に過ごしていました」と振り返る。

今度は、王者として迎える夏。「ミスをなくして、自分たちはチャレンジャーというのを忘れずに練習していきたい」。胸を張って、大旗を持ち帰る。【保坂恭子】

○…18年から5年間、山梨学院の臨時コーチを務めた元横浜部長の小倉清一郎さん(79)は「おめでとうしかないね」と喜んだ。かつて横浜を強豪校に育てあげた野球を、選手はもちろん、吉田部長には寝る直前まで徹底的に教えこんだ。「基本的なことがわかっていなかった。走攻守、100近いセオリー全部教えた。3年はかかったね」。今大会中も毎日、連絡をとって助言を送った。一から学んだ「小倉野球」が山梨学院の礎となり、花開いた。

【センバツ】山梨学院が県勢悲願の甲子園初優勝 5回に7点奪い報徳学園を逆転/詳細