沖学園が、元オリックス監督で、ソフトバンクでもヘッドコーチなどを務めた森脇浩司シニアディレクター(62)の指導効果で逆転勝ちで好発進した。

森脇氏がスタンドから見守る中、1-2の5回2死一、二塁だった。「森脇さんが来て、本塁打や長打が増えた」という1番北岡英虎(ひでとら)外野手が、左中間へ同点の適時二塁打を放った。「タイミングを取る時にひざが沈む癖や、初球を見逃す癖をなくすように言われたら、打てるようになった」。今春就任した森脇氏の指導後、7本塁打と固め打ち。「来てくれたことは大きい」と感謝した。

2-2の6回1死一塁では、5番黒鳥琢磨投手(3年)の右中間への適時三塁打で勝ち越した。「(森脇氏から)ティー打撃の時『狙う所を決めて、そこに打ちなさい』と言われます」。打撃だけでなく、投球でも助言をもらった。「『フォームが開かないようにしなさい』『7割ぐらいの力でストライクを入れたら、打たれない』と言われます」。力感を抑えながら、6回途中2失点と試合をつくった。

森脇氏は近鉄、広島、南海、ダイエーで遊撃など内野手として活躍。引退後はソフトバンクヘッドコーチや、オリックス監督を務めた。19年に学生野球の資格を回復。沖学園理事長と数十年来の知り合いという縁で、今春シニアディレクターに就任し、週3日ほど指導を行っている。講演会などのほか、6月には福岡トヨタ硬式野球クラブのGMにも就任し多忙を極めるが、スタンドに駆けつけてパワーを注いだ。鬼塚佳幸監督(41)によると「守備のポジショニングなどで、ハッと気づかされることがある」という。森脇氏は「(選手は)素直なので、アドバイスするだけで、素晴らしい変化を見せる。捕れなかったボールが捕れたりするんですよ」と話し、伸びしろのある選手の成長に目尻を下げた。

夏の大会前、森脇氏は「備えが大事。日頃からの準備の大切さを野球から学んでほしい。同じ準備でも、先手を打てる準備をしなさい」と伝えたという。選手は期待に応え、夏にたくましい成長を見せた。【菊川光一】