<高校野球長野大会:上田西9-2伊那弥生ケ丘>◇9日◇2回戦◇県営上田球場

上田西(長野)のドラフト候補、大型遊撃手の横山聖哉内野手(3年)はスカウトの前で高校通算29号3ランを放った。

「打て! セイヤ!」。4点リードした6回1死二、三塁。スタンドからの大歓声の中、横山は真ん中高めのスライダーを思い切り振り抜いた。「消極的になっていた」と前の打席は三振でそれまで3打数無安打。打球は右翼スタンドへ吸い込まれていった。打った瞬間から「入ったと思いました」と一塁ベースを回るまで右手の拳を突き上げ喜びを表現した。ダメ押しの3ランでチームを逆転のコールド勝ちに導いた。吉崎琢朗監督(40)も「一番おいしいところをもっていきました」と脱帽した。

身長181センチ、82キロ。高校通算29本塁打で長打力のある大型遊撃手。高校入学後に身長は173センチから8センチ伸び、体重は18キロも増えた。積極的に間食を増やし、多いときは6食にした。この日は巨人やロッテなどのスカウトが見守る中で勝負強さをアピールした。巨人榑松スカウト部次長も「走って守って打って、見栄えがする良い選手」と絶賛した。

人間性も厚い信頼を得ている。今年から初めての取り組みである「ゲームキャプテン」に就任。指揮官から「試合の中で起きうることを練習で伝えてほしい」と期待を寄せられる。この日も先制点を許した先発の滝沢一樹投手(3年)に対しベンチの中で「あせるな」と何度も声をかけにいった。

帽子のつばには大きく「甲子園」の文字が書かれている。聖地への道のりまでまだ始まったばかり。「先を見ずにやっていきたい」と一戦必勝で長野の頂点を目指す。【星夏穂】