<高校野球島根大会:石見智翠館9-2三刀屋>◇16日◇2回戦◇松江市営野球場

「山陰の大砲」の夏が終わった。

U18日本代表候補・高野颯太内野手(3年)擁する三刀屋が、7回コールドで石見智翠館に敗れ、初戦敗退となった。

敗れはしたが、けがからの復活を印象づける最終戦だった。試合開始まもなく、左翼越えの先頭打者本塁打。「初球が中途半端なスイングなってしまって、次の球は強振してやろうと思った。芯には当たってないですけど、気持ちで持っていったという感じです」。2月に左手有鉤(ゆうこう)骨を骨折し、春季大会も欠場していたが、本来の力が出せるまでに戻っていることをアピールする高校通算29号だった。

チームは4回に4失点。「僕のエラーからズルズルいってしまった」と、ゴロの処理ミスを悔やむ展開となり、そのまま最後まで流れを引き戻せなかった。

高校での戦いはこれで終わりになり、U18代表合宿で一緒だった八戸学院光星の中沢恒貴内野手と誓った「甲子園で会おうな」という約束は果たせなくなった。それでも高野には、次のステージが待っている。「まだはっきりしていませんが、プロ志望届は出したいと思っています」。小学生の頃、出雲でのイベントでツインズ前田健太(35)と交流し、「近くで話して、目指したいと思うようになった」というプロの世界を目指すことになる。

目標とする選手は、巨人・浅野翔吾(18)。「タイプが似ていると言われますし、浅野さんが高校の時にすごいスイングしていて、僕が目指すのはあそこだなと思うようになりました」。50メートルを6秒09で走り、先頭打者という共通点もある浅野を追いかける。

「どこに投げられても本塁打を打てるような、日本を代表するようなバッターになりたいです」。山陰を代表するスラッガーは、敗戦の悔しさに号泣した後、自身の夢に向かって前を向いた。