<高校野球神奈川大会:横浜5-0相洋>◇21日◇準々決勝◇横浜

今秋ドラフト候補の横浜の左腕、杉山遥希投手(3年)が第1シードの相洋を相手に9回8安打無失点の完封勝利をおさめた。8球団10人のスカウトが見守る中、自己最速を2キロ上回る147キロを計測した。1年時から「1」を背負う絶対的エースの杉山が、3年連続で聖地のマウンドに立つまで、あと2勝。24日の準決勝では「Y校」こと、古豪の横浜商と対戦する。

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杉山は春のリベンジへ、初回からエンジン全開だった。140キロ台の直球と変化球をコースに投げ分け、アウトを重ねた。「悔しさはずっとあった。2度と負けたくない相手だった」と思いがほとばしった。

大会前から闘志を燃やしていた。今春県大会準々決勝では相洋を相手に3回途中から救援登板し7回1/3を5安打2失点(自責1)。「春はピンチで交代して抑えきれずに打たれてしまった」。真夏の太陽が照りつけるこの日は、けん制も2度決めるなど三塁を踏ませたのは1度。6回2死二、三塁も9回2死一、二塁も硬軟でねじ伏せた。「何回もピンチが来たけどそこで0点に抑えられたのは良かった」。最後は投飛を自ら捕り、ガッツポーズした。

ヤクルト橿渕スカウトグループ次長デスクは「コントロールもあってキレもある。高校生の中では完成度の高い投手」と話した。阪神吉野スカウトは「真っすぐも丁寧にコーナーに投げて変化球も低めに集めていた。けん制で2回もアウト取っていた。そういうところもそつなくこなせる技を持ってる」と評価した。

帽子のつばには「未完成」の文字が書かれている。「いい結果を残しても満足せずにもっと上を求めてやっていきたい」との思いから昨夏前に自ら書いた。村田浩明監督(37)も「この夏で完成してほしい」と期待を寄せる。

3年連続の甲子園が見えてきた。「優勝するという思いを持ちつつ、一戦必勝という言葉を掲げてチームでやっているので、まずは次の準決勝をものにしてやっていきたい」。仲間のために全力で腕を振る。【星夏穂】

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