4年ぶりの全国制覇を目指す履正社(大阪)が、快勝発進した。

主砲・森田大翔(はると)内野手(3年)が初回に決勝の3ラン。増田壮投手(3年)は投打で活躍した。

   ◇   ◇   ◇

大阪王者が実力を見せつけた。プロ注目の森田が高校通算33本目の先制3ラン。「チャンスだったので何としてもランナーをかえそうと思った。最高の形になってよかった」。持ち前のパンチ力を生かし、先制の決勝点をたたき出した。

初回1死一、二塁。同校OBで憧れのヤクルト山田の応援歌を耳に打席に入った。内角直球にうまく反応。いつもの浜風とは違い逆風をものともせず、左翼スタンドへ運んだ。「甲子園で打てて格別。先制だったのでよかった」と手応え十分の先制パンチとなった。

1年秋からベンチ入り。だが故障の影響から2年夏にベンチ外となり、エクササイズや柔軟を取り入れ、対応力を向上させた。球を捉える確率も上がり、昨夏新チーム発足後からの約1年間で27本と本塁打を量産する。

センバツは初戦で高知に逆転負け。宿舎で多田晃監督(45)の部屋を1人で訪れ、約1時間話し込んだ。「チームとして雰囲気が良くなかった。もう1回甲子園に来れても、このままでは同じことになると思った」。チームの方向性や意識の確認を行い、再び甲子園へと気持ちを向けた。

今夏大阪大会で85年清原和博(PL学園)、95年福留孝介(同)らに並ぶ3戦連発。決勝で最強のライバル大阪桐蔭を破った。この日「センバツでは負けてしまったので、何としても1勝しないと」との思いをバットに込めた。4番を張った坂根葉矢斗捕手(3年)が大阪初戦で右手小指を負傷し、現在は森田が4番に座る。試合前には坂根から「任せたで」とひと言。結果で応えた。

阪神井上やDeNA小深田らを擁して日本一になった19年以来の夏の甲子園。「これからも1戦1戦自分のベストを尽くせるようにしたい」。勝負強さも兼ね備えた男が、快勝発進へ導いた。【林亮佑】

▽広島鞘師スカウト あのパワーは魅力的。体に力がある。

▽中日山本スカウト リストが強い。くるっと回ってうまく打った。夏の大会に入ってよくなっている。