一関学院(岩手1位)が秋田修英(秋田2位)を4-1で下し、8年ぶりの4強入り。3回に3点を先制。高沢奏大投手(2年)が2安打1失点の完投と投打がかみ合って快勝した。八戸学院光星(青森2位)は、日大山形(山形2位)を8-1の7回コールド。洗平(あらいだい)比呂投手(2年)が、7回1失点の完投で、チームを5年ぶりの4強入りへ導いた。

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制球力で勝負だ! 高沢は球速へのこだわりがない。高校入学当初から制球力には自信があったが、課題は球速。1年の夏に最速134キロをマークしたが、「球速を意識すると制球力が乱れる」と、今はあえて計測していない。だが、この日は3四球と自慢の制球力が乱れた。「今日の投球は50点もいかない。球速を意識してしまった」と反省。それでも、1イニングごとに梅田昇希捕手(2年)と話し合い、臨機応変な配球で、相手に的を絞らせなかった。

昨年11月から約4カ月間、肘のけがに見舞われた。「大好きな野球ができないのは本当に苦しかった」。その時、思い出したのが佐々木朗希投手(21、ロッテ)だった。佐々木はプロ1年目の20年は、体づくりのため実戦登板を封印。不安と葛藤を抱えながら努力を重ね、22年に完全試合、23年には日の丸を背負い、世界一に貢献した。佐々木とは状況は違うが、登板できない点は一緒。高沢は「手を抜かずに、今できることを信じてやっていこう」と決意。下半身や体幹の強化に注力した結果が今に結びついた。

目標の選手は大谷翔平(29、エンゼルス)だ。「打撃にも自信があるので、二刀流という面で意識している」。大谷、佐々木ともに岩手出身。さらに、身長189センチと、長身という点でも共通。同じ舞台での活躍に「まだ考えていないが、いずれは…。やるべきことをしっかりやっていれば必ず成長できる」。だが、その前に「センバツ出場」という目前に迫った目標達成のため、21日の青森山田戦にすべてをぶつける。【木村有優】

○…八戸学院光星・洗平が2カ月ぶりに先発マウンドに帰ってきた。今夏の甲子園ではノースアジア大明桜(秋田)戦完封を含む全3試合に登板し、8強入りに貢献した。だが、甲子園での激闘がたたり「全身に疲労がたまっていた」とノースローで疲労回復に努めていた。

今大会前にようやく復調し初登板。いきなりの完投でエースの貫禄を見せ、チームは5年ぶりの4強入り。仲井宗基監督は「1人の投手では勝てない時代なので、岡本琉奨(るい)投手(2年)に経験を積ませたかった」とダブルエースがそろい、安堵(あんど)の表情を浮かべた。洗平は「(甲子園の舞台は)楽しかったが、悔しさも残った。センバツに出場して取り返したい」とセンバツが確定となる21日の学法石川(福島)戦に勝っての聖地でのリベンジを誓った。