耐久(和歌山1位)が春夏通じて初の甲子園出場を確実にした。

同校OBで19年4月から母校の監督を務める井原正善監督(39)は「夢のようです。先輩や先人の方々から受け継いできたものが花開きました」と感無量の様子だった。

大躍進の原動力となった冷水(しみず)孝輔投手(2年)は前チームからの大黒柱だ。3年前のエースは冷水の兄秀輔(中部学院大2年)で、その弟が入学すると聞いた時に「ある程度戦える」感触があった。有田シニアでプレーしていた冷水だけでなく、現レギュラーは7人が硬式出身。目立った勧誘活動はしていないが、例年以上に有望選手がそろった学年だった。

現3年生が6人しかいなかったことで、下級生の時から実戦経験を多く積むことができた。新チーム移行の際に「今年のメンバーで勝負しないといけない」と思ったという。例年は「甲子園」を口にすることはない。選手たちはベスト4を目標にしていたが、県大会の組み合わせが決まると「取りにいくぞ」とあえて優勝を意識させた。

部員は19人(2年生10人)で、グラウンドは狭く環境も恵まれていない。それでも「私学の監督さんと話をさせてもらうと、私学さんにも苦労がある。いいところ、悪いところがある。僕は来てくれる選手の中でやりくりしようと思っている」と割り切っている。

監督自身も耐久でエースを務めた。母校愛は誰よりも強い。和歌山・湯浅で力を蓄えた19人が、甲子園に乗り込む。