高校野球の名門、帝京(東京)で50年間にわたって監督を務めた前田三夫氏(74)の勇退パーティーが13日、東京都内のホテルで行われ、約500人が出席した。

千葉・袖ケ浦市出身の前田氏は木更津中央(現・木更津総合)から帝京大を経て、72年に帝京高の野球部監督に就任。練習場である校庭をサッカー部と共用する環境下で、3度の全国優勝を果たした。甲子園には春夏通じて26度導き、通算51勝。21年夏を最後に勇退し、現在は同部の名誉監督を務めている。あいさつでは「いい選手を持って幸せだなと思います。皆さまからも温かいメッセージを多くいただき、その言葉を糧にこれから頑張って生きていこうと思います」と感謝を口にした。

隣県でのライバル関係にあった横浜(神奈川)の元監督、渡辺元智氏(79)は「帝京高校にグラウンドがない、横浜高校もグラウンドがない。全く野球ができるような状況じゃない中で、お互い昭和にスタートしました。関東の野球は『打倒、江川卓』でした。しかし私はやはり目の前、隣のにっくき前田を倒さなきゃいけないと」と会場を笑わせながら「とにかくこの人を倒して向こうに行かないと、と思っていました」と回想。「私の知る前田監督は厳しいですけど、非常に情が深い。不易流行という言葉は前田さんが源流です」とたたえていた。

会場にはPL学園(大阪)の中村順司元監督、智弁和歌山の高嶋仁元監督、明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督ら、高校野球関係者ら同校OB選手も多く駆けつけ、名将の偉業をねぎらった。前田氏の配慮により、自主トレ中の現役プロ野球選手は不参加だった。