センバツが100年を迎えた。敗れて甲子園を後にする敗者には、今夏の甲子園へとつながっていくドラマがある。「涙は夏のため~新しい夢のため~」と題し、さまざまな角度から敗れたチームの物語を紡ぐ。

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好調だった昨春は、6回2失点だった。今春は不調で9回途中1失点。敦賀気比のエース左腕・竹下海斗(3年)は、聖地に成長の跡を刻んだ。

昨春は背番号18で先発に抜てきされた。父宏志さん(51)にLINE(ライン)で「ピッチングしていて今、調子がいい」と初めて自ら連絡した。結果は大阪桐蔭に6回5安打2失点で敗れた。好調を結果につなげることができなかった。

あれから1年。背番号1を背負い、再び甲子園へ。2月はインフルエンザに苦しみ、体重は4キロ減。万全ではない中で試合を迎えた。イニングを投げきった8回中、6回は得点圏に走者を背負った。9回1死から安打を許して降板。試合はサヨナラ負けも、粘り続けた。「いい状態ではなかったけど、8回まで投げられたのは成長。ピンチでも粘れるのは成長したところ」と進歩を証明した。

チームはセンバツで4年連続初戦敗退も、竹下の視線は夏へ。「ここで自分たちが下を向いていたら絶対に夏に戻ってこれないと思う。イチから成長して、前向いて成長して夏に戻って来て全国優勝したい」。そう力強く話し、リスタートした。【林亮佑】

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